2010年12月16日

#2

飛行機が遠い空に、自分が確かにそこにいたことを残そうと、白い線を描いているのが見えた。
冷たさが嗅覚を突く。吐き出した息は白くそこに少しでも留まろうとして、やがて形を失った。
ぼくは人の流れに目をやる。
その一人ひとりに行く先があって、帰る場所があるという当たり前の事がうまく飲み込めなくて、
むしろその流れ自体がひとつの生き物や自然現象の何かと言ってしまった方がうまく処理出来そうだった。

視点が引く。
君は、君自身の背を見る。
まるでコントローラに忠実に従う勇者を操るみたいに。
不意に身体が寒さを思い出す。
君だって得体の知れない動物(あるいは自然現象の何か)の一部でしかないという
透明の事実に輪郭線が描かれる。

視点が戻る。
ぼくはまた人の流れに目をやる。
今度は少しだけ、それを飲み込めそうな気がした。
もし飲み込めなくても、口の中で転がしておけばいい。
味が無くなったら噛んでみよう。

飛行機が遺した白い線は曖昧に形を失いながらも、
まだぼくの目で捕らえることができた。

明日はきっと雨が降る。
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posted by HarmKia at 22:51| Comment(0) | 文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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